Tokyoink

研究開発

当社グループはこれまで、色彩を軸に製品及びサービスの価値を追求してきました。
その中で培った顔料分散技術を応用し、新たな付加価値を生み出そうと努力し続けています。
特に、これからの環境やエネルギー問題を解決する重要な分野である電池、ディスプレイ、センサー、光学レンズ、エレクトロニクス、生体化学などの分野には
たくさんの技術課題が存在しており、これらの分野に貢献すべく、従来の基盤技術の進化・深化と新たな要素技術の拡充により研究・技術開発を推進していきます。
その足がかりとして、従来の微粒子分散技術に欠かせない3つの要素技術を応用・発展し、新しい分野の材料開発を行っています。

材料開発 4つのアプローチ

  • 材料開発

    様々な機能材料をテーマにし、有機、無機合成を応用した材料開発

  • 機能設計

    効率的に機能を発現できるように、計算化学を駆使した機能設計

  • 機能性高分子の設計

    精密重合技術に基づいた高分子の機能設計

  • プロセス制御技術

    生産技術(合成、重合、精密条件制御)の技術開発により、次世代の生産プロセスを構築

主な研究テーマ

  • 無機材料のナノ粒子合成と表面改質
    ジルコニアナノ粒子による透明分散液の開発

    ナノ粒子合成技術の応用として、無機ナノ粒子の分散液の開発を行っています。
    その中でも、高屈折材料として需要がある酸化ジルコニウムを合成し、当社グループ独自の表面修飾技術を使って、透明分散液を作成することに成功しています。

    各種溶媒に容易に分散。透明性を維持しつつ 75wt% まで高濃度に作成が可能です。
    各種樹脂に添加すると、透明性を維持しつつ、高屈折率樹脂を作成することが可能になります。
    また、この技術を応用し、さまざまな無機ナノ粒子(酸化セリウム)の分散液を開発しています。

  • 顔料誘導体(表面改質剤)技術を応用した機能性有機色素
    有機蛍光色素の設計と機能開発

    当社グループでは、長年培ってきました顔料分散を支える顔料誘導体技術を発展させ、有機材料のさまざまな機能について検討を行っています。
    有機色素には、従来の着色という機能だけではなく、近年では、外部からの光や熱、電場、圧力などの刺激に応答して、さまざまな物性変化を示すものがあります。
    とりわけ、エネルギー変換、蛍光などの特性を発現することができる機能性色素の開発に力を注いでいます。

  • リビングラジカル重合(RAFT)によるブロックポリマーの開発

    同じ構造(モノマー)の繰り返しである高分子(ポリマー)の機能は、モノマーの構造だけではなく分子量、分子量分布に影響されることが知られています。
    近年では、重合技術の進歩によりブロック型、くし型、星型といったさまざまな複合構造の高分子材料を合成することが可能となってきており、ポリマーの新規複合構造を調製することでさらなる高機能化に向けた検討が行われています。当社では、山形大学の森教授との共同研究により、通常のラジカル重合では不溶解、不溶融となるポリメタクリル酸ビニル(PVMA)を精密重合の一種である RAFT 重合法を用いることで溶媒に可溶な PVMAの合成に成功しました。
    さらに、同技術を応用することで各種ポリマーとのブロック共重合体の合成も可能です。
    このようにブロック共重合化することにより、反応性を有する分散剤や有機‐無機間の接着剤としての機能の発現が期待されます。

    M. Akiyama, K. Yoshida, H. Mori, Controlled synthesis of vinyl-functionalized homopolymers
    and block copolymers by RAFT polymerization of vinyl methacrylate, Polymer, 55, 813-823 (2014)

  • X(γ)線対応プラスチックシンチレータの開発

    当社グループでは、プラスチックシンチレータの開発を行っています。
    比重の軽いプラスチックでは透過力の強い放射線(X線やγ線)に対応することが困難でした。この度、当社グループのもつ分散技術を応用し、プラスチックシンチレータにジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ビスマス(Bi)の重金属を充填し、高計数率の測定が可能なX(γ)線対応プラスチックシンチレータを開発しました。