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大熊

「1年目の取り組みとして、まずは自動搬送ロボットの導入を2021年11月に完了しました。今のところトラブル無く稼働しているので、このまま製造現場で実用化できそうか検証を進めている状況です」

内藤

「『自動化・省人化』というのは、『完全無人化運転』というその最終的なゴールイメージも含めて、このプロジェクト以前からずっと社内で議論されてきたテーマです。ところが『ここにこういう機械を入れたらいいんじゃないか』といろいろなアイデアが出ても、実際にやったことがないから最適解がわからない。『だったら一回、実際にラインを作ってみなきゃ』ということで スタートしたのがこのプロジェクトです」

岡村

「ハンドの仕組みもいろいろあるのでいくつも機械を試しました。機械によって得意不得意が様々ですし、上手く袋をつかめても落としてしまったり。さらに『どういうセンサーが必要か?』『どういうインターロック*が必要か?』を決めるのにも膨大な量の情報収集が必要でした。でもそうやって機械や仕様を決めていくのは楽しい作業でした。当社ならではのロボットになったのではと思っています」

岡村

「『生産部署が何に一番困っているか』です。工場に行って話を聞いてみると『こうしてほしいんだよね』という生の声が聞けます。それがヒントになることが多いです。実際に起きたトラブルのリストが社内で共有されてはいますが、座ってそれを見ているだけでは何も先に進みません」

内藤

「今回のロボットは多軸で狭い空間でも小回りが利くものを選定したのですが、業者さん選びから導入までですでに1年。3年計画というと長期プロジェクトに思えますが、本当にあっという間に時間が過ぎていきます(笑)。次は制御系システムの構築。それぞれが単独で動いている設備を連携させてライン全体での自動化まで持っていくイメージです。より人の手が介在しない、より効率的な工場を目指します」

大熊

「当社の工場は三交代制で夜勤もありますので、まずは夜だけでも無人化できないか。このあたりが課題です」

戸田

「まず、ナノがどのくらいの大きさかですが...
1マイクロメートル(µm)=0.001ミリメートル(mm)
1ナノメートル(nm)=0.001マイクロメートル(µm)
つまり
1ナノメートル(nm)=0.000001ミリメートル(mm)
になります」

野崎

「それは...うーん、例えばある金属に人にとって便利な機能があるとして、その機能を樹脂のようなある素材に付与したい。けれど金属を混ぜたときに濁って不透明になってほしくない。完全に透明な状態を保ったまま金属が持つ機能を素材に付与したい。そうした場合にナノレベルの小ささが必要になってくるんです」

関根

「身近にあるもので言うと、パソコンやスマホの画面ってもともとは反射して見づらいものなんですよ。なので反射防止機能を付与したいわけですが、そのための物質を混ぜたら画面に色がついたり濁ったりしたというのでは本末転倒です。画面はクリアに見えないといけない。つまり『なぜ小さくしたいのか?』というと、答えは『透明にしたいから』です」

戸田

「当社の強みは、ナノ粒子に『分散する性質』を付与する技術にあるんです。もともとはインキのための技術でしたが、今は化成品などに応用して素材に付加価値を与えています」

関根

「粒子には細かくなると粒子同士が集まってしまう性質があります。そうなると濁ったり沈殿するなどして使えません。なので『細かくしなきゃいけない』と同時に『集まってくるのを阻害』しないといけないんです。こうした技術を『分散技術』と定義しています」

戸田

「特定の製品や事業はイメージせずに、その分散技術をどこまで極められるかを追求するのが開発フェーズでの課題なのですが、いくつかの物質では透明性を維持しながらそれぞれの機能を素材に付与することに実験室レベルでは成功しています。どのような応用が今後できるのかを探る段階まで来ています」

野崎

「こうした技術には、インキを紙に印刷するのと共通する部分があって、ある種の特殊な印刷と捉えることもできます。インキメーカーが進む方向として優位性のある技術だと考えています」

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