今回は、管理部門総務部法務課 富山さん、北村さん、西脇さんにお話を伺いました。
経済産業省は2018年に公表した「DXレポート」の中で、2025年までにDXを実現できない場合に生じる経済損失を「2025年の崖」と表現し、ITインフラや基幹系システムの刷新を企業に促しました。図らずもこの流れに勢いを与えたのがコロナ禍でした。ウィズコロナ突入以降、テレワークに不可欠なクラウドサービスがビジネスシーンに浸透し、非効率な業務からの脱却が加速したのです。東京インキでは2021年7月、DXによる業務効率化の一環として社内向けシステム「契約書管理アプリ」を導入。これにより契約書の申請から審査・承認をオンラインで完了できるようになりました。この流れを受けたリーガルテック第2弾として「電子契約システム」の導入準備を現在進めています。そのメリットとはどのようなものなのでしょう。
北村
「当社が紙の契約書を作成する場合、契約書を印刷・製本して、印紙を貼り、担当者に押印請求票を提出してもらい、押印手続きをした契約書を担当者に渡す。担当者から取引先に発送、取引先より署名押印してもらったものを法務課に返送していただき、格納する......とこんなフローです。印刷・製本、押印請求票作成、封入・郵送といった各工程での付随業務が負担になっていました。電子契約では収入印紙が要らなくなりますので、『印紙いくらですか?』といったお問い合わせへの対応もなくなります」
富山
「会社にとっては印紙代を節約できるのが大きいと思いますが、社員レベルでも煩雑な業務に割いている時間を軽減できるメリットがあります」
西脇
「取引先が契約書を作成した場合は、突合*もしています。今は目でやるしかない。時間もかかりますし、人間のやることなのでミスを完全にゼロにすることはできません」
北村
「電子契約が導入されれば、突合はAIで行いますので、効率は格段にアップするはずです」
北村
「最初に挙がった候補は6〜7社。最終的に1社に絞ってデモを開始したのが昨年。2022年の秋でした」
西脇
「取引先に安心感を持ってもらえるのが第一ですので、シェアや導入実績から判断してまず絞り込み、さらに機能面を精査して当社が必要とする機能を実現できそうなサービスに決定しました。決め手はワークフローの設計の自由度。現行のワークフローを一旦ちゃんと確認し、できるだけ今まで通りの手順にできるかどうかを検討しました。検索機能もサービスによって甲乙あったのでそこもポイントになりました」
北村
「最も重視したのはセキュリティ面です。IPアドレス制限など、私たちだけでは判断できないところは情報システム部にアドバイスしていただきました。セキュリティは法務課にとっては手強かったです」